「うちの子、引き算になると急に手が止まってしまう…」
「繰り下がりのある計算になると、どう考えればいいのかわからないみたい」
そんな悩みを抱えているご家庭は少なくありません。
引き算は足し算と並んで算数の基本となる計算ですが、足し算とは考え方が少し違います。
特に、繰り下がりが出てくると、
- 「どうして10を借りるの?」
- 「さくらんぼ計算って何を分ければいいの?」
- 「暗算と筆算はどちらを練習したらいい?」
と、子どもだけでなく教える側の保護者も迷いやすくなります。
でも、引き算はやみくもに問題を繰り返すだけでなく、「数をどう分けて考えるのか」を理解すると、ぐっと計算しやすくなります。
この記事では、小学生が引き算を早く・正確に解けるようになるために、
- 引き算そのものの考え方
- 10のかたまり
- 繰り下がり
- さくらんぼ計算
- 減加法と減減法
- 筆算
- 暗算
- 家庭での練習方法
まで順番にわかりやすく解説します。
引き算の考え方とは?まず「何を求める計算なのか」を理解しよう
引き算が苦手な子どもに計算方法だけを教えても、なかなか定着しないことがあります。
そんなときは、まず「引き算は何を求める計算なのか」から確認してみましょう。
引き算は「残った数」を求める計算
もっともイメージしやすいのが、「残り」を求める引き算です。
たとえば、
「りんごが8個あります。3個食べました。残りはいくつでしょう?」
という問題なら、
8-3=5
となります。
つまり、
最初にあった数から、なくなった数を引いて、残った数を求める
という考え方です。
実際のお菓子やおはじきなどを使って、
「8個から3個取ったら何個残る?」
と見せると、引き算の意味を理解しやすくなります。
引き算は「2つの数の差」を求める計算でもある
引き算には、もうひとつ大切な考え方があります。
それが「差」を求める計算です。
たとえば、
「赤いボールが8個、青いボールが5個あります。赤いボールは青いボールより何個多いでしょう?」
という問題も、
8-5=3
です。
この場合は何かを取り除いているわけではありません。
8個と5個を比べて、どれくらい違うのかを求めています。
そのため、引き算を理解するときは、
「残りを求める」
だけでなく、
「2つの数の違いを求める」
という考え方も知っておくと、文章問題にも対応しやすくなります。
足し算と引き算は反対の関係にある
引き算を考えるときに、足し算との関係を知っておくことも大切です。
たとえば、
13-9=?
という計算なら、
「9にいくつ足したら13になる?」
と考えることもできます。
9+4=13なので、
13-9=4
とわかります。
足し算が得意な子どもなら、この考え方の方がわかりやすいこともあります。
引き算だからといって、必ず「引くことだけ」で考えなければいけないわけではありません。
引き算が早くなる方法の前に知りたい!小学生がつまずく理由
引き算でなかなか答えが出てこない場合、単に練習不足とは限りません。
どこでつまずいているかによって、必要な練習も変わります。
足し算とは「逆向き」の思考が必要だから
足し算は「合わせる」「増える」というイメージを持ちやすい計算です。
一方、引き算は、
- 取り除く
- 残りを求める
- 差を求める
といった違う方向の考え方が必要になります。
たとえば、
8+5=13
はわかっていても、
13-5=?
となると急に時間がかかる子どももいます。
これは、足し算と引き算の関係がまだ頭の中で十分につながっていないためです。
1桁どうしの引き算が定着していない
繰り下がりや筆算が苦手な場合でも、原因をたどると1桁の計算に行き着くことがあります。
たとえば、
9-3
8-5
7-4
といった計算で毎回時間がかかる状態では、2桁の計算になるとさらに多くの処理が必要になります。
まずは簡単な引き算を、少しずつスムーズに答えられる状態にすることが大切です。
「10のまとまり」と位取りの理解があいまい
繰り下がりでは、
「十の位から1借りる」
という説明をよく使います。
しかし、
「どうして1を借りると10になるの?」
と疑問に思う子どももいます。
これは、十の位の「1」は1個ではなく、10が1個という意味だからです。
ここが理解できていないと、筆算の繰り下がりを手順だけで覚えることになり、途中で混乱しやすくなります。
繰り下がりは計算手順が多く途中で混乱しやすい
13-9のような計算では、
- 数を分ける
- 10を使う
- 引き算する
- 残った数を合わせる
など、複数の手順があります。
大人には簡単に見えても、小学生にとっては一度に考えることがたくさんあります。
途中でわからなくなる場合は、頭の中だけで処理させず、紙や具体物を使って1つずつ確認することが大切です。
引き算の基本の考え方!「10のかたまり」と位取りを理解しよう
繰り下がりを理解するために、特に重要なのが「10」です。
「10のかたまり」とは何か?
10は、いろいろな組み合わせに分けることができます。
| 組み合わせ |
|---|
| 1と9 |
| 2と8 |
| 3と7 |
| 4と6 |
| 5と5 |
たとえば、
「7にいくつ足したら10?」
と聞かれて、
「3」
とすぐに答えられるようになると、繰り下がりの計算が楽になります。
13-9なら、
10-9=1
がすぐにわかるためです。
「32」は「10が3個と1が2個」と考える
位取りを理解するために、
32
という数字を考えてみましょう。
32は、
30+2
です。
さらに言えば、
10が3個と、1が2個
という意味です。
十の位の「3」は、単なる3ではなく30を表しています。
そのため、32-17を筆算するとき、一の位の2から7を引けなければ、十の位から10を1つ一の位へ移します。
すると、
32
は、
20+12
と考えることができます。
数字そのものは変わっていません。
この感覚がわかると、「借りる」という言葉だけを覚えるよりも繰り下がりを理解しやすくなります。
「10のかたまり」を使った練習方法
家庭では、
「10は3といくつ?」
「10は6といくつ?」
というクイズを出してみると簡単に練習できます。
毎日長時間やる必要はありません。
1日数分でもよいので、ゲーム感覚で繰り返してみましょう。
慣れてきたら、
「8は3といくつ?」
「9は4といくつ?」
というように、10以外の数の分解にも挑戦します。
数を2つに分ける練習もしておこう
引き算では、数を分ける力がとても役立ちます。
たとえば9なら、
1と8
2と7
3と6
4と5
に分けられます。
あとで出てくる減減法では、この「分ける力」を使います。
ブロック・おはじき・硬貨などで数を見える化する
数字だけでは理解しにくい場合は、具体物を使うのがおすすめです。
たとえば10個のおはじきをひとまとまりにして、
「これが10」
と見せます。
そこから3個と7個に分けたり、10個のまとまりをバラバラにしたりすると、
「10はいろいろな数に分けられる」
ということが視覚的に理解できます。
さくらんぼ計算で繰り下がりを攻略!2つの引き算の考え方
小学校では、数を分けて計算する方法として「さくらんぼ計算」が使われることがあります。
ここで知っておきたいのが、繰り下がりには主に2つの考え方があることです。
さくらんぼ計算とは?
さくらんぼ計算は、数字を2つに分けて計算しやすくする方法です。
数字から2本の線を伸ばして分解する様子が、さくらんぼのように見えることから、この名前で呼ばれています。
ただし、「どちらの数字を分けるのか」によって計算方法が変わります。
減加法|引かれる数を「10と残り」に分ける
13-9を例にしてみましょう。
13を、
10と3
に分けます。
そして、
10-9=1
1+3=4
と考えます。
答えは4です。
つまり、
引かれる数を10と残りに分け、10から先に引いて、あとから残りを足す
方法です。
減減法|引く数を分けて、まず10を作る
同じ13-9でも、別の考え方ができます。
今度は9を、
3と6
に分けます。
13からまず3を引くと、
13-3=10
になります。
そのあと残った6を引きます。
10-6=4
なので答えは4です。
つまり、
引く数を分けて、まず10まで引き、残りを続けて引く
方法です。
減加法と減減法はどちらを使えばいい?
どちらを使っても、答えは同じです。
子どもによって、
「10から引く方がわかりやすい」
という場合もあれば、
「まず10にする方が考えやすい」
という場合もあります。
学校で習っている方法がある場合は、まずその方法を確認しながら練習すると混乱を減らしやすいでしょう。
そのうえで、どうしても理解しにくい場合は、別の考え方を見せてあげるのもひとつの方法です。
途中で混乱するときは計算手順を紙に書こう
引き算を早くさせようとして、いきなり暗算を求める必要はありません。
13-9なら、
13=10+3
10-9=1
1+3=4
というように、途中の計算を書いて構いません。
最初はスピードよりも、
「なぜこの答えになるのかを自分で説明できること」
を大切にしましょう。
2桁以上の引き算は筆算で考えよう!繰り下がりの仕組み
2桁以上になると、筆算を使う場面が増えてきます。
42-17を例に筆算のやり方を確認
42-17を考えてみましょう。
まず一の位を見ると、
2-7
はそのままでは計算できません。
そこで十の位から10を1つ一の位へ移します。
42は、
30+12
と考えられます。
一の位は、
12-7=5
です。
十の位は、
3-1=2
となります。
したがって答えは、
25
です。
なぜ十の位から1を借りると「10」増えるの?
ここで子どもが疑問に思いやすいのが、
「1借りたのに、どうして12になるの?」
という点です。
十の位の1は、
10が1つ
だからです。
42の場合、
4つあった10のまとまりを3つにして、1つの10を一の位へ移しています。
そのため、
2+10=12
になるのです。
「借りる」という言葉だけではわかりにくい場合は、
「10のまとまりを1つ、こっちに移す」
と説明すると理解しやすくなることがあります。
繰り下がった数字をメモしてミスを防ぐ
筆算に慣れないうちは、繰り下がったあとに十の位がいくつになったのかを小さくメモしておくと安心です。
頭の中だけで覚えようとすると、
「借りたのを忘れた」
というミスが起こりやすくなります。
計算が正確にできるようになるまでは、途中の数字を書いて確認して問題ありません。
0がある引き算の繰り下がりはどう考える?
たとえば、
100-28
のような計算は、少し難しく感じます。
一の位は0-8では引けません。
しかし十の位も0なので、そのままでは借りられません。
そこで百の位の1つの100を、
10が10個
に分けます。
さらに、その中の10を1つ一の位へ移します。
数字だけを見ると複雑ですが、
大きなまとまりを小さなまとまりに分けているだけ
と考えると理解しやすくなります。
0をまたぐ繰り下がりが苦手な場合は、いきなり難しい問題を繰り返すより、
- 20-7
- 30-14
- 100-20
- 100-8
など、段階を分けて練習するとよいでしょう。
暗算で引き算が早くなる方法!計算スピードを上げるコツ
計算方法が理解できたら、少しずつ暗算にも挑戦していきましょう。
足し算を使って引き算する「逆算」
13-9なら、
「9に何を足したら13?」
と考えます。
9+4=13
なので、
13-9=4
です。
足し算が得意な子どもには使いやすい方法です。
キリのいい数にしてから調整する
52-19を考えてみましょう。
19は20に近いので、
52-20=32
と計算します。
しかし、本当は19しか引いていないため、1を戻します。
32+1=33
です。
答えは33です。
このように、
いったん10や20などのキリのいい数を使って、あとから調整する
方法も暗算では便利です。
数を分解してシンプルに考える
76-34なら、
70-30=40
6-4=2
40+2=42
と考えられます。
繰り下がりがない計算では、十の位と一の位を分けると暗算しやすくなります。
数直線をイメージして考える
20-7なら、数直線の20から左へ7戻るイメージを持つ方法もあります。
いきなり頭の中で想像するのが難しい場合は、紙に数直線を書き、指を動かしながら練習してみましょう。
1桁の引き算は反射的に答えられるまで練習する
暗算を速くするためには、1桁の計算をスムーズに答えられることが重要です。
ただし、無理に大量の問題を解かせる必要はありません。
- 計算カード
- フラッシュカード
- 30秒チャレンジ
- 親子で問題を出し合う
- 簡単な計算ゲーム
などを使い、少しずつ慣れていきましょう。
家庭でできる!引き算が早くなる練習方法と教え方
引き算の力を伸ばすには、家庭での取り組み方も大切です。
毎日5〜10分の「計算タイム」を作る
長時間まとめて練習するより、短い時間でも繰り返す方が続けやすいです。
夕食後や宿題のあとなど、
「この時間に少しだけ計算する」
という習慣を作ってみましょう。
無理なく続けられる時間にすることがポイントです。
プリント・ドリルは子どものレベルに合わせる
簡単すぎる問題ばかりでも、難しすぎる問題ばかりでも集中は続きません。
たとえば、
1桁の引き算はできるけれど、繰り下がりが遅い
という場合は、繰り下がりのある問題を少しずつ増やします。
できた問題が増えると、
「自分にもできる」
という感覚を持ちやすくなります。
生活の中に引き算を取り入れる
引き算は、日常生活の中でも練習できます。
たとえば、
- 10個のお菓子から3個食べたら何個残る?
- 100円持っていて70円使ったらいくら残る?
- あと15分で出発するとき、今から何分ある?
- カードゲームで点数の差はいくつ?
というように、生活の中で自然に問いかけてみましょう。
机の上の問題だけではわかりにくかった子どもでも、実際の場面になると理解できることがあります。
「間違えても大丈夫」と思える声かけをする
引き算が苦手な子どもにとって、
「また間違えた」
という経験は大きなストレスになることがあります。
そんなときは、答えだけを見るのではなく、
「ここまでは合っているね」
「10に分けるところまではできたね」
「前より早くなったね」
と、途中の考え方や変化にも目を向けてみましょう。
反対に、
「なんでこれができないの?」
「さっき教えたでしょ」
と言われると、計算そのものが嫌になってしまうことがあります。
安心して間違えられる環境を作ることも大切です。
いつも同じところで間違えるなら原因を探す
何度練習しても同じ問題で間違える場合は、問題数を増やす前に原因を探してみましょう。
| つまずき | 確認したいこと |
|---|---|
| 1桁の計算が遅い | 基礎的な引き算を繰り返す |
| 繰り下がりがわからない | 10のかたまりを具体物で確認する |
| さくらんぼ計算で混乱する | 減加法・減減法を別々に練習する |
| 筆算でミスする | 繰り下がった数字をメモする |
| 答えは合うが遅い | 簡単な問題から少しずつ時間を意識する |
「どうして間違えたの?」
と責めるのではなく、
「どこまではわかった?」
と一緒に確認すると原因を見つけやすくなります。
引き算の考え方でよくある疑問
指を使って引き算しても大丈夫?
引き算を覚え始めた段階で指を使うこと自体は、必ずしも悪いことではありません。
目で見たり手を動かしたりしながら数を理解する助けになるからです。
ただし、大きな数になると指だけでは対応できなくなります。
少しずつ、
「10のかたまり」
「数の分解」
へ移行していくとよいでしょう。
さくらんぼ計算で余計に混乱するときはどうする?
さくらんぼ計算がすべての子どもに同じようにわかりやすいとは限りません。
途中の分解で混乱する場合は、
- おはじきを使う
- 数直線を使う
- 足し算の逆算で考える
- 筆算で計算する
など、別の方法を試してみましょう。
大切なのは、方法の名前を覚えることではなく、子ども自身が「なぜその答えになるのか」を理解できることです。
暗算と筆算はどちらから練習すればいい?
どちらか一方だけを急いで習得する必要はありません。
まずは計算の意味や繰り下がりの仕組みを理解し、紙に書けば正確に解ける状態を目指しましょう。
そのうえで、簡単な問題から暗算を取り入れていくとスムーズです。
難しい問題まで無理に暗算させる必要はありません。
計算は合っているのに遅い場合はどうする?
正しく計算できているなら、まずはそこを評価してあげましょう。
そのあと、
- 1桁の引き算
- 10の組み合わせ
- 数の分解
のどこに時間がかかっているかを確認します。
基礎部分がスムーズになると、計算全体の時間も短くなりやすくなります。
タイマーを使う場合も、他の子と比べるのではなく、
「昨日の自分より少し速くなった」
という見方をすると続けやすいでしょう。
まとめ|引き算の考え方がわかれば計算は少しずつ早くなる
引き算が早くなるためには、単に問題をたくさん解くだけではなく、数をどう考えるのかを理解することが大切です。
今回のポイントをまとめると、
- 引き算には「残りを求める」「差を求める」という考え方がある
- 足し算と引き算は反対の関係にある
- 繰り下がりの前に「10のかたまり」と位取りを理解する
- 13-9のような計算には減加法と減減法がある
- 筆算の繰り下がりは「10のまとまりを移している」と考える
- 暗算では逆算・キリのいい数・数の分解などが使える
- まずは正確さを大切にし、そのあと少しずつ速さを身につける
という流れになります。
引き算が苦手だからといって、いきなり難しい問題を繰り返す必要はありません。
「1桁の計算」
「10のかたまり」
「数を分ける」
という基本に戻ることで、つまずいているポイントが見つかることがあります。
そして、できなかった問題が少しずつできるようになれば、子どもの自信にもつながります。
焦らず、お子さんが理解しやすい方法を一緒に探してみてください。

