「6月5日は環境の日って聞いたことあるけど、なんでこの日なんだろう?」と思ったことはないでしょうか。
カレンダーを見ると確かに書いてあるのに、なぜこの日が「環境の日」なのか、その背景や意味を詳しく知っている人は意外と少ないものです。
実はこの日には、半世紀以上前の国際的な出来事が深く関わっていて、しかも日本の提案がきっかけで生まれた記念日でもあります。
そのことを知ると、少しだけ身近に感じられるようになるから不思議です。
この記事でわかること
- 環境の日(6月5日)の由来となった1972年の国際会議の内容
- 世界環境デーが正式に制定されるまでの経緯と日本の関わり
- 日本独自の「環境月間」とは何か、どんな活動が行われているか
- 環境の日にちなんで私たちが日常生活でできる具体的な行動
環境の日の由来|1972年ストックホルムで起きたこと

「環境の日」の由来を知るには、今から50年以上前にさかのぼる必要があります。
その出発点となったのは、スウェーデンの首都ストックホルムで開かれた歴史的な国際会議でした。
この会議がなければ、6月5日という日付に特別な意味は生まれていなかったかもしれません。
国連人間環境会議とはどんな会議だったのか
1972年6月5日、スウェーデンのストックホルムで「国連人間環境会議」が開幕しました。これは環境問題を主テーマとした初めての大規模な国際会議で、113か国の政府代表や多くの国際機関が参加した歴史的な場でした。
会議の正式名称は「United Nations Conference on the Human Environment」といい、日本語では「国連人間環境会議」と呼ばれています。
当時の世界は、急速な工業化と経済成長の陰で深刻な環境汚染が広がっていた時代です。
大気汚染、水質汚染、土壌汚染など、さまざまな公害問題が各国で噴出していました。
日本でも水俣病や四日市ぜんそくなど、いわゆる「四大公害病」が社会問題として大きくクローズアップされていた時期と重なります。
工場の煙突から出る煙、川に流される工業廃水、大量消費と大量廃棄——そういった問題が「このままでいいのか」という問いを世界中に突きつけていました。
そうした背景のなかで、国連はこの会議を主催し、地球規模で環境問題に取り組む必要性を国際社会に訴えたのです。
参加各国は「人間と自然環境との関係をどう守るか」という難しいテーマに向き合い、約2週間にわたって議論を重ねました。
会議は1972年6月5日から16日までの12日間にわたって開催され、その開幕日である6月5日が後に「世界環境デー」の起点となります。
「人間環境宣言」の採択と環境問題への国際的な合意
会議のクライマックスとなったのが「人間環境宣言(ストックホルム宣言)」の採択です。
この宣言は、環境保全に関する人類共通の考え方と原則をまとめたもので、環境分野における初めての国際的な合意文書として歴史に刻まれています。
宣言の核心にあるのは「人間は環境の産物であると同時に、環境を形成する存在でもある」という考え方です。
つまり、私たち人間は自然環境から切り離された存在ではなく、環境と一体となって生きているという認識を国際社会が共有したのです。
これは今でこそ当たり前のように聞こえますが、経済成長最優先の時代にあって、これを正面から国際宣言として打ち出したことは非常に画期的なことでした。
また、この会議では「国連環境計画(UNEP:United Nations Environment Programme)」の設立も決まりました。
UNEPはその後も気候変動や生物多様性の保全など、地球規模の環境問題に取り組む国連の中核機関として活動を続けています。
この組織の誕生もストックホルム会議の大きな成果のひとつです。
こうして1972年6月5日という日付は、「人類が初めて本格的に環境問題と向き合った日」として記憶されることになりました。
この日を起点として、のちに「世界環境デー」という国際的な記念日が生まれることになります。
世界環境デーの制定|日本とセネガルの共同提案という事実

ストックホルム会議での議論は、「環境の日」という記念日の制定へとつながっていきます。
そしてその制定の場で、日本が重要な役割を果たしていたことはあまり知られていません。
ここでは、世界環境デーが正式に決まるまでの経緯を追ってみましょう。
国連総会での正式採択とその年
ストックホルム会議の翌年、1972年12月の国連総会において「世界環境デー(World Environment Day)」が正式に採択されました。この総会決議によって、毎年6月5日を「世界環境デー」とすることが国際的に定められたのです。
記念日の日付に6月5日が選ばれたのは、言うまでもなくストックホルム会議の開幕日にちなんでいます。
世界環境デーは、地球上の環境問題に対する世界中の人々の意識を高め、行動を促すための日として位置づけられています。
現在では世界143か国以上で何らかの記念行事やイベントが行われるまでに広がっており、環境分野においては最も重要な国際的記念日のひとつとなっています。
日本とセネガルが共同提案した意味
世界環境デーの制定にあたって特筆すべきは、日本がアフリカのセネガルと共同でこの記念日の設立を提案したという歴史的事実です。
先進工業国と発展途上国が手を組んで環境の記念日を提案したというのは、当時としてはかなり画期的なことでした。
なぜ日本とセネガルだったのか、という点については諸説ありますが、一方は深刻な公害問題を経験した先進工業国として、もう一方は環境の恩恵とリスクを直接受ける立場の途上国として、それぞれ異なる視点から環境問題の重要性を認識していたという背景があります。
先進国と途上国という立場を超えて「環境を守る」という共通の目標のもとで協力したことが、この提案の説得力をより強いものにしたと言えるでしょう。
日本国内では当時、公害問題が非常に深刻な社会問題となっており、企業の経済活動と環境保全のバランスをどう取るかが大きな課題となっていました。
その経験があったからこそ、国際的な場で環境問題の重要性を訴える立場に日本は自然と立つことができたのかもしれません。
日本の公害問題の経験が、世界環境デー誕生に関わった背景の一つとも考えられます。
「世界環境デー」と「環境の日」の違い
ここで少し整理しておきたいのが「世界環境デー」と「環境の日」の関係です。
混同しやすいのですが、この二つは微妙に異なります。
| 名称 | 制定主体 | 制定年 | 性格 |
|---|---|---|---|
| 世界環境デー | 国連(国連総会) | 1972年 | 国際的な記念日 |
| 環境の日 | 日本政府(環境基本法) | 1993年 | 日本国内の法定記念日 |
「世界環境デー」は国連が定めた国際的な記念日であるのに対し、「環境の日」は日本の法律(環境基本法)によって国内で制定されたものです。
日付はどちらも6月5日で同じです。
日本では1993年に制定された環境基本法の第10条において、6月5日を「環境の日」と定めています。
つまり、国際的な文脈では「世界環境デー」、日本国内の文脈では「環境の日」と呼ばれることが多いものの、実質的には同じ日を指していると考えてよいでしょう。
環境月間とは何か|6月まるごと環境を考える月

6月5日の「環境の日」だけでなく、日本では6月を「環境月間」として位置づけ、一か月を通じてさまざまな取り組みが行われています。
この環境月間の意味や内容を知ることで、環境への関わり方がより身近なものになってくるはずです。
環境月間の成り立ちと目的
環境月間は、環境の日(6月5日)を中心に、6月1日から30日までの1か月間を「環境月間」として、環境保全に対する意識を高める取り組みを集中的に行う期間として設けられています。
国(環境省)や地方自治体、企業、学校、市民団体など、さまざまな主体がこの期間中にイベントや啓発活動を展開します。
なぜ1日だけでなく1か月間なのかというと、環境問題は「その日だけ意識すれば十分」というものではなく、日々の生活習慣や考え方の中に根づかせていく必要があるからです。
1か月という期間を設けることで、より多くの人が繰り返し環境について考える機会を持てるようになります。
記念日の意義を1日で終わらせず、継続的な意識づけにつなげようというのが環境月間の根本的な考え方です。
環境月間中に行われる主な取り組み
環境月間には全国各地でさまざまな活動が行われます。
代表的なものをいくつか挙げてみましょう。
- 環境省主催のシンポジウムや講演会の開催
- 各地の公園や河川での清掃活動・ゴミ拾いイベント
- 学校や公民館での環境教育プログラム
- 企業によるエコ活動の紹介・展示
- 自治体による省エネや再生可能エネルギーに関する説明会
- 自然観察会・生き物観察ツアー
- 植樹活動・緑化推進イベント
これらの活動は、大人から子どもまで幅広い世代が参加できるものが多く、「環境問題は専門家だけが考えるもの」という意識を取り除く効果もあります。
身近なところで自分が参加できる活動を見つけやすいのが、環境月間ならではの良さだと思います。
「環境の日」記念行事と表彰制度
6月5日の環境の日には、毎年「環境の日」記念行事が開催されており、環境保全に顕著な功績のあった個人や団体を表彰する取り組みも行われています。
環境省が主体となって行うこの表彰は、地域の草の根的な活動から大規模な企業の取り組みまで、幅広い環境活動を評価・奨励するものです。
こうした表彰の存在は、環境活動に取り組む人たちにとっての励みになるだけでなく、優れた取り組みを広く社会に紹介する場にもなっています。
「自分の地域でもこういう活動をしている人がいるんだ」と知ることが、次の行動につながることも少なくありません。
環境月間は、環境の日という一点の記念日を1か月に広げることで、より多くの人が環境問題と向き合えるようにした仕組みです。この発想自体がとてもうまくできていると思います。
たった1日では「ああ、そんな日があるんだね」で終わってしまいがちですが、1か月あればイベントに参加したり、家族で話し合ったり、自分の生活を振り返ったりする時間を持てます。
世界環境デーのテーマ変遷|毎年異なる問題提起

世界環境デーには毎年テーマが設定されており、そのテーマを知ることで「今、地球規模でどんな環境問題が重視されているのか」がよくわかります。
過去のテーマを振り返ることで、環境問題の歴史的な変化も見えてきます。
テーマ設定の仕組みと意義
世界環境デーのテーマは、国連環境計画(UNEP)が毎年設定します。
テーマは単なるキャッチフレーズではなく、その年に国際社会が特に注目すべき環境課題を反映したものです。
世界各国の政府、企業、NGO、市民がこのテーマに沿って活動やイベントを企画するため、テーマの設定は非常に重要な意味を持ちます。
また、各年の世界環境デーには「ホスト国」が設定されることも特徴のひとつです。
ホスト国となった国では、世界環境デーの中心的なイベントが開催されます。
これにより、さまざまな国が順番に環境問題の発信役を担うことになり、地球規模での関心の広がりを促す効果があります。
過去のテーマから見える環境問題の変遷
世界環境デーのテーマは、時代とともに変化してきました。
以下にいくつかの代表的なテーマを紹介します(※最新情報は公式サイトでご確認ください)。
| 年 | テーマ(日本語訳) | 主な背景 |
|---|---|---|
| 1974年 | ひとつだけの地球 | 資源の有限性への認識 |
| 1987年 | 環境と避難民 | 環境劣化と人の移動の関係 |
| 2004年 | 必要とされているのは海と海岸 | 海洋環境の保護 |
| 2016年 | 野生生物の違法売買に手を貸すな | 生物多様性・密猟問題 |
| 2021年 | 生態系の再生 | 劣化した生態系の回復 |
| 2023年 | プラスチック汚染の解決策 | 海洋プラスチック問題 |
こうして並べてみると、1970年代には「資源の有限性」や「地球は一つしかない」という基本的な認識の共有が主テーマだったのが、年を経るにつれて気候変動、生物多様性、海洋汚染、プラスチック問題など、より具体的な課題へと焦点が移ってきているのがわかります。
これは環境問題への理解が深まるとともに、問題そのものも多様化・深刻化してきたことを示しています。
テーマから日常生活へのつながりを考える
毎年のテーマを知ることには、単なる情報収集以上の意味があります。
「今年のテーマはプラスチック問題か。
じゃあ、うちではビニール袋をどれだけ使っているだろう」「海洋汚染がテーマなら、川に流れるゴミを減らすことを意識してみよう」——そんなふうに、国際的なテーマを自分の日常生活に引きつけて考えるきっかけになるからです。
大きな環境問題は、個人の力だけでは解決できないと感じがちです。
でも、世界環境デーのテーマを知り、自分ができる小さな行動を一つ加えることで、積み重なれば大きな変化につながる可能性があると思っています。
記念日やテーマというのは、そのための「きっかけ」として非常に有効なものです。
最新のテーマや詳細については、UNEPの公式サイトや環境省のウェブサイトでご確認ください。
毎年更新される情報ですので、ぜひ6月を迎える前にチェックしてみると良いと思います。
環境の日を身近に感じる|私たちにできること

「環境の日」の由来や歴史を知った後に気になるのは、「じゃあ、実際に自分たちは何ができるのか」という点ではないでしょうか。
ここでは、難しく考えすぎずに取り組める具体的な行動をいくつか紹介します。
日常生活でできる小さなエコ行動
環境問題と聞くと、壮大なテーマに感じて「自分には関係ない」「専門家がやるもの」と思いがちです。
でも実際には、毎日の暮らしのなかにたくさんの「小さなエコ行動」が潜んでいます。
- マイバッグ・マイボトルを持ち歩く:使い捨てプラスチックを減らす第一歩
- 冷蔵庫の設定温度を見直す:電力消費を抑えながら食品ロスも防ぐ
- シャワーの時間を1〜2分短くする:水資源の節約につながる
- 不要な照明を消す習慣をつける:電気代の節約にもなって一石二鳥
- 食材を使い切るよう意識する:食品ロス削減は温室効果ガス削減にも効果的
- 徒歩や自転車を積極的に使う:近距離の移動なら健康にもつながる
- 古紙・資源ゴミの分別を丁寧に行う:リサイクル率の向上に貢献できる
これらはどれも今日からすぐ始められることばかりです。
「全部やらなきゃ」と思わず、まずは一つだけ選んで試してみるのが長続きのコツだと思います。
6月5日を「家族で話し合う日」にする
環境の日をただ知識として知るだけでなく、家族でこの日を「環境について話し合う日」と決めるのもひとつの活用法です。
「今年はどんなエコを始めよう」「家のゴミの量を減らすにはどうすればいい?」といった話題を食卓で出してみるだけで、家族全員が環境について考えるきっかけになります。
特に子どもがいる家庭では、環境の日の由来を話してあげると教育的な効果もあります。
「50年以上前に、世界中の人が集まって地球のことを話し合ったんだよ」という話は、子どもにとってスケールの大きな驚きとして伝わるはずです。
学校の授業で習う前に親から聞いた話というのは、意外と記憶に残るものですから。
地域の環境イベントに参加してみる
環境月間の6月には、全国各地でさまざまなイベントが開催されます。
自治体が主催する清掃活動、自然観察会、エコに関する講座や展示など、参加しやすいものがきっと近くにあるはずです。
インターネットで「〇〇市 環境月間 イベント」と検索してみると情報が見つかることが多いでしょう。
現在の開催情報や申し込み方法については、各自治体や主催団体の公式サイトでご確認ください。
地域のイベントに参加することは、環境への意識を高めるだけでなく、近所の人との交流や地域コミュニティへの関わりにもつながります。
「環境問題って、結局は地域のつながりや助け合いとも関係しているんだな」と感じられる機会になるかもしれません。
「知ること」自体がアクションになる
最後に強調したいのは、「知ること」が環境への関心を高め、行動につながるきっかけとなるということです。
環境の日の由来を知り、世界環境デーのテーマを調べ、地元のイベントを検索してみる——こうした小さなアクションの積み重ねが、「環境問題を他人事にしない」という姿勢につながっていきます。
環境問題への関心を持つことは、環境への対応を考える上で大切な一歩です。知識を持つことで初めて行動の選択肢が生まれます。
この記事を読んで「環境の日ってそういう日だったんだ」と感じてもらえたなら、それだけで十分意味のあることだと思います。
そこからさらに一歩踏み出せるかどうかは、あとは自分次第です。
まとめ|環境の日の由来を知ることが環境行動の出発点
この記事のポイントをまとめます。
- 環境の日(6月5日)の由来は、1972年6月5日にスウェーデンのストックホルムで開かれた「国連人間環境会議」の開幕日にある
- この会議では「人間環境宣言(ストックホルム宣言)」が採択され、環境保全に関する初めての国際的合意文書となった
- 1972年12月の国連総会で「世界環境デー」が正式に採択され、日本とセネガルの共同提案が実現につながった
- 日本では1993年に制定された環境基本法で6月5日を「環境の日」として国内法でも定めた
- 6月は「環境月間」として位置づけられ、全国各地でさまざまな啓発活動やイベントが行われる
- 世界環境デーには毎年テーマが設定され、その年に重視される環境課題が反映されている
- 環境の日を機に、日常生活での小さなエコ行動や家族での話し合いを始めることが大切
「環境の日」というと、少し堅苦しく感じる方もいるかもしれませんが、その背景には50年以上前の国際的な動きがあり、日本も深く関わっていたという事実があります。
地球規模の問題が、こんなに身近なところで自分たちともつながっていると知ると、少し違った目でこの日を見られるようになるものです。
6月5日が近づいたら、ぜひ一度「なぜこの日が環境の日なんだろう」と立ち止まって考えてみてください。
そして、その答えを家族や友人に話してあげることが、小さくても確かな環境への貢献になると私は思っています。
記念日の意味を知ることから、行動は必ず始まります。
